当事務所は「すべてのひとに対話とナットクと幸福を感じられる社会へ」を掲げています。
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、私は職員の幸せと事業所の定着率は
同じことの裏表だと考えています。
前編では、公表されたばかりのデータから、そのことを考えてみます。
■賃金は「入口」、幸せは「別のところ」にある
令和8年7月29日、介護労働安定センターが令和7年度の「介護労働実態調査」の結果を
公表しました。離職率は12.4%、採用率は14.6%です。
この調査で興味深いのは、事業所の答えが採用と定着で分かれている点です。
採用に効果があった方策の1位は「賃金水準の向上」(38.4%)。
一方、職場定着に効果があった方策の1位は
「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(57.9%)でした。
働く側の回答も同じ方向を向いています。
勤務先の取り組みのうち「働き続けることに役立っている」と答えた割合が高かったのは、
「休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(65.5%)と
「人間関係が良好な職場づくり」(65.4%)でした。
賃金は人に来てもらうために必要です。
けれども、来てくれた人が居続けてくれるかどうかは、別の要素で決まっている。
データはそう読めます。
■人間関係は、いちばんの支えであり、いちばんの理由にもなる
同じ調査で、仕事の満足度を指数で見ると、最も高いプラスは
「職場の人間関係」(+38.2ポイント)、次いで「仕事の内容」(+34.2ポイント)でした。
反対にマイナスが大きいのは「人員配置体制」(▲18.5ポイント)、
「休憩室などの付帯設備」(▲12.5ポイント)、「賃金水準」(▲12.3ポイント)です。
ところが、介護の仕事から介護の仕事へ移った人に前職を辞めた理由を聞くと、
1位は「職場の人間関係に問題があったため」(27.3%)。
さらにその具体的な中身を聞くと、約半数(45.8%)が
「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」と答えています。
人間関係は、職員がいちばん満足している部分であると同時に、
職場を去るいちばんの理由でもある。
同じものが、支えにも刃にもなっているということです。
■まずは、休みやすさから
調査が示したいちばん効果のある定着策は、休暇を取りやすく、
勤務日時を変えやすい職場づくりでした。
特別な制度を新しくつくる話ではありません。
有給休暇を申し出やすい雰囲気があるか。急な事情に誰かが代われる体制があるか。
「人員配置体制」が満足度の最大のマイナスだったことを踏まえれば、
そこに手を入れることが、結局いちばん職員の幸せに近いのだと思います。
では、その職場をどうやってつくるのか。
後編では、当事務所が「対話」と「ナットク」を掲げている理由をお話しします。





















